ダイエットのためにランニングを始めたものの、3日坊主で終わってしまった・・・そんな経験ありませんか?
ダイエット=有酸素運動というイメージから、ランニングを始める人は多いです。しかし運動が嫌いで走りたくないという場合、がんばって始めても継続できないですよね。
では走らないと痩せられないかというと、答えはNO!
周りを見渡せば、運動していなくても痩せている人はたくさんいるはずです。
ダイエットのために走ることは有効ですが、必須なものではありません。
本記事では「痩せたいけど走りたくない」という運動嫌いさんに向けて
- 食事
- 運動
- 睡眠
- 腸内環境
の4つの視点からダイエット術を解説します。
走らなくてもダイエットはできる
冒頭でもお伝えしたように、走らなくてもダイエットはできます!
ダイエットの基本はアンダーカロリー。つまり摂取カロリーよりも消費カロリーのほうが多い状態になれば、痩せることは可能です。

脂肪1㎏は7200kcalなので、摂取カロリーよりも消費カロリーのほうが7200kcal多い状態になれば、脂肪が1㎏減る計算になります。
脂肪を減らすためには摂取カロリーを減らしても、消費カロリーを増やしても、アンダーカロリーさえ作ればいいわけです。
では具体的に、アンダーカロリーを作るための方法を4つ解説します。
①食事
アンダーカロリーを作る方法1つ目は、食事です。

ダイエットは食事が9割、運動が1割という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、食事の管理はダイエットにおいて重要なんです。
脂肪1㎏を減らすために7200kcalのアンダーカロリーが必要であることはお伝えしましたが、1ヶ月で1㎏痩せるためには7200kcal÷30日=240kcal、つまり1日あたり240kcalのアンダーカロリーを作ればよいということ。
240kcalを運動で消費するためには、体重60㎏の人で
- 散歩65分
- 山登り35分
- ジョギング33分
- 縄跳び19分
と、結構大変なことがわかります。
一方、食事で240kcalを減らすためには
- ご飯1膳(160g)
- 肉まん1個
- どら焼き1個
- クッキー3枚
このぐらいの摂取カロリーを減らせばいいんです。
毎日続けるなら、圧倒的に食事の摂取カロリーを減らす方がラクですよね。
ダイエットというと食事制限する人が多いですが、筆者が所属する食欲コントロールダイエット協会では、食事管理・食欲コントロールの必要性をお伝えしています。
食事制限と食事管理は何が違うのかと言うと
- 食事制限:食べたいもの、太りやすいものは我慢して食べない。摂取カロリーや栄養バランスを細かく計算して、設定範囲内に収まるようにする。お腹が空いていても、カロリー超過していたら食べずに我慢する。
- 食事管理:摂取カロリーや栄養バランスは意識するが、その範囲内で食べたいものを食べる。カロリー超過していても、必要な時は食べる。食べ過ぎる時は原因を考え、その原因の解消に努める。
要は、食事制限は食欲を意志の力で抑えるのに対し、食事管理は自然と食欲がコントロールできるように整えていく、というイメージです。
食事制限をするとアンダーカロリーが作りやすいので、体重は落ちやすいです。しかし我慢が必要で長期間続けることは難しく、反動でドカ食い・リバウンドに繋がりやすいというデメリットがあります。
一方で食事管理は、食べ過ぎる原因を解消していくので、短期間での効果はあまりないものの、長期間ムリなく続けていけるというメリットがあります。
食べ過ぎる原因には
- 運動
- 睡眠
- ストレス
- 腸内環境
- 貧血
- ホルモンバランス
など色々あって、一人に一つとは限りません。食べ過ぎる原因が同じであっても、対策は一人ひとり異なり、誰かと同じようにすれば痩せる!というものではないので、簡単ではないかもしれません。
ですが、原因を解消していけば痩せることができて、リバウンドするリスクは低いです。もしも痩せた後にリバウンドしたとしても、また原因を解消すればいいので、自分で体重を戻すことは難しくありません。
ダイエットのためにアンダーカロリーを作るためには、食事管理が王道といえるでしょう。
食欲が抑えられない人は、こちらの記事で原因と対策をチェックしてみてください。

運動
アンダーカロリーを作る方法2つ目は、運動です。

食事の項目でもお伝えしたように、運動だけで消費カロリーを増やそうとするのは大変です。
ダイエットは数日がんばればいいというものではなく、長く続けることが大切です。毎日30分のランニングを続けられる自信がある!という方でなければ、運動でカロリー消費するのはおすすめしません。
そもそも私たちの身体には、一定の状態を保とうとするホメオスタシスという機能が備わっています。今、体重が60㎏の人であれば、60㎏をキープするための摂取カロリー・消費カロリーが釣り合っているということです。
いきなりハードな運動をして、消費カロリーが普段より300kcal多くなれば、そのぶん食欲を増して、300kcal余分に摂取しようとしてしまうんです。
ジムで運動したあとに、「今日はがんばったからご褒美!」とスイーツを食べた経験はありませんか?
実は筆者も、ジム通いしていたのに痩せない時は、「がんばったから」とラーメン・餃子セットを食べたり、カフェの甘いドリンクを飲んだりと、運動で消費した以上にカロリーを摂取していました。
つまりどんなにがんばって運動したとしても、消費カロリーよりも摂取カロリーが多い、オーバーカロリーの状態になったら痩せないのです。
この記事を読んでいるあなたは、おそらく運動はニガテで、走りたくないと思っているでしょう。そんなあなたは、ダイエットのためにムリして走る必要はありません。
では運動は全くしなくていいのかというと、そういうわけでもないのです。運動には
- メンタル面の安定
- 体力の向上
- 睡眠の質向上
という効果があり、これらが食欲の安定につながります。
食欲が安定すれば、ムリに我慢しなくても摂取カロリーを抑えることができ、アンダーカロリーが作りやすくなるので、結果的にダイエットに良い影響を及ぼします。
ただし毎日長時間の運動は不要。
- 家事をしながら足踏みをする
- スマホやテレビを観ながらステッパーを踏む
- 歯みがきしながらスクワットする
- 10分ほど散歩する
- ラジオ体操をする
- 車よりも自転車や徒歩で移動する
- エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
- 一駅分歩く
- あえて遠回りをする
など、日々の生活に+αでできる運動を取り入れると、ムリなく継続することができます。
運動はカロリー消費目的ではなく、食欲を安定させるために、日々の生活に組み込んでいきましょう。
運動についてはこちらの記事も参考にしてください。

睡眠
アンダーカロリーを作る方法3つ目は、睡眠です。

睡眠不足は以下の要因から、食欲を乱します。
- グレリン(食欲増進ホルモン)が増える
- レプチン(食欲抑制ホルモン)が減る
- 理性や判断力を司る脳内前頭葉の働きが鈍くなる
- コルチゾールが過剰に分泌され、血糖値が上昇する
睡眠不足が食欲を増したり、高カロリー食品を選びやすくなることは、アメリカの調査でも明らかになっています。
米国スタンフォード大学の研究によると、一、〇二四名の地域在住成人に対する横断調査で、BMIの増加は睡眠時間の短縮と比例し、睡眠時間が五時間の人を八時間の人と比較した場合、レプチン分泌は一五・五%低く、グレリンは一四・九%高くなることが示されています
国立精神 ・ 神経医療研究センター精神保健研究所 睡眠 ・ 覚醒障害研究部
米カリフォルニア州立大学バークレー校の研究チームは、23名の被験者を対象に、睡眠時間の違いが食欲にどのような影響を与えるかを調査した。正常な睡眠をとった後と、睡眠不足の状態の2度にわたって、「機能的磁気共鳴画像装置」(fMRI)を使って脳をスキャンした。
糖尿病ネットワーク
fMRI検査を行いながら、低カロリーの野菜や果物などの健康的な食品や、ドーナツやパンケーキなどの高カロリーのジャンクフードまで、80種類の食品の写真を見せた。
その結果、寝不足状態の被験者は、ジャンクフードを欲しがる傾向が強くなった。脳スキャンで確かめたところ、脂肪や塩分の多く味付けの濃い高カロリーの食品を見たときに、前頭葉の活動がより活発になった。
「睡眠不足が続くと、動機付けや欲求をコントロールしている前頭葉の働きが不安定になり、結果として食欲が増したり、高カロリーの食品を求めるようになります」と、カリフォルニア大学のマシュー ウォーカー教授(脳神経科学)は説明する。
睡眠不足の日に、ついつい食べ過ぎてしまった経験がある人もいるでしょう。それはあなたの意志が弱いせいではなく、ホルモンや脳の働きによるものなんです。
他にも睡眠不足が身体に与える影響として、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されます。
インスリンが血糖値を下げるホルモンであることは多くの方が知っていると思いますが、コルチゾールは反対に、血糖値を上げるホルモンです。
コルチゾールが必要以上に分泌されると、血糖値が必要以上に高くなります。すると上がりすぎた血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌されます。
血糖値が適正範囲内で上昇し、適正量のインスリンが分泌されれば問題ありませんが、インスリンが大量に分泌されると、体の中でこんなことが起こります。
- インスリンが、体内で余ったエネルギーを脂肪細胞に取り込む
- 血糖値が乱高下し、血糖値が下がると強い空腹感からドカ食いにつながる
つまり、血糖値が必要以上に上がったり下がったりすることで、食欲が乱れたり、脂肪を蓄えやすくなります。
現代人は多忙な生活を送る人が多く、睡眠に何かしらの問題を抱えている人がほとんどでしょう。
睡眠習慣の改善は容易ではありませんが、睡眠を改善するだけで食欲をムリなく安定させることができるのなら、やってみる価値はあるはずです。
睡眠は時間だけでなく、質も大切。良い睡眠が取れているか、以下の項目をチェックしてみましょう。
- 睡眠時間は7~8時間
- 寝つき、寝起きが良い
- 中途覚醒がない
- 日中に眠気がない
一つでも当てはまった人は、睡眠に問題がある可能性があります。
睡眠時間を延ばせる人はまず延ばしましょう。難しい人は睡眠の質を上げるために、以下のような工夫をしてみましょう。
- 午前中に朝日を浴びる
- カフェインを取りすぎない(15時まででやめる)
- 寝具や室温、湿度を調整する
- 湯船につかる
- 寝る前にストレッチやアロマなど、リラックスできる行動をする
- 寝る前1時間はスマホやパソコンの画面を見ない
ムリなくアンダーカロリーを作るために、毎日の睡眠を見直してみてください。
腸内環境
アンダーカロリーを作る方法4つ目は、腸内環境です。

腸内環境が悪いと
- ホルモンバランスが崩れる
- 栄養を吸収できない
という理由から、痩せにくい体質になります。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド)やCCK(コレシストキニン)といった食欲にかかわるホルモンや、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの9割以上は、腸内で作られています。そのため腸内環境が悪い状態では、これらのホルモンが不足します。
GLP-1とCCKは、食事をすると腸から分泌され、脳に働きかけて満腹感が得られます。そのため不足すると満腹感が得られず、食べ過ぎてオーバーカロリーとなります。
セロトニンは精神面の安定に関係していますが、腸内環境が悪くセロトニンがうまく生成・分泌されないと、イライラしやすくなります。心身がストレスを感じると、幸福感を得ようとして甘い物を欲しやすくなります。
甘い物を食べると、脳からドーパミンが出て快楽を得ることができます。一度経験すると、またストレスを感じたときには快楽を得ようとし、甘い物を食べないと落ち着かない、という状態になるのです。
これを脳の報酬系と言い、ラットを使った実験でも証明されています。
脳の報酬系を繰り返し活性化すると、脳はそれに順応して自ら配線を変え、もっともっと欲しくなる。ラット(ネズミ)を使った実験で、思いがけずこのことがわかった。糖分たっぷりの食事を与えられたラットの脳は体がブレーキをかけるのを助ける特定の化学物質の放出量が少なく、食べるのをやめる機能が低下していたのだ。
Harper‘s BAZAAR
また腸内環境の悪化は、ホルモンだけでなく栄養吸収の面でも痩せにくい体へとつながります。
腸内にはおよそ1000種類、100~1000兆個の細菌が生息しており、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分類されます。
善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌といった、体にとって良い働きをする細菌。悪玉菌はウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌といった、腸内を腐敗させる働きをします。日和見菌は、腸内で優勢な細菌を加勢します。つまり善玉菌が優勢なら善玉菌の、悪玉菌が優勢なら悪玉菌の味方をするという、八方美人な細菌です。
腸内細菌の理想的なバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7ですが、腸内環境が悪化するとバランスが崩れます。
善玉菌は腸の蠕動運動を促したり、栄養の吸収、ビタミンの産生といった働きがありますが、善玉菌が減ると栄養が十分に吸収できなかったり、ビタミンが不足します。
食事で十分な栄養を摂っていても、体に吸収されなければ、脳はエネルギー不足と判断して食欲を強めます。
ビタミンB群は脂肪燃焼を助ける働きがあるため、不足するとアンダーカロリーを作っても、脂肪燃焼が起こらないということになります。
このように、腸内環境が悪いとホルモン不足や栄養吸収不足につながり、食欲が乱れてオーバーカロリーにつながりやすくなります。
腸内環境は便の硬さやにおい、お通じの頻度でチェックできます。腸内環境を整える方法と併せて、以下のサイトを参考にしてみてください。
運動はダイエットを加速させる
走りたくない人がムリにジョギングをすると、ストレス要因となり、逆に食欲を強める原因になりかねません。
ダイエットの基本はあくまでもアンダーカロリー。食事管理と生活習慣改善でアンダーカロリーになれば、痩せることは可能です。
ただ繰り返しになりますが、運動は食欲安定や生活習慣改善につながり、ダイエットを加速させることができます。
カロリー消費目的での運動はおすすめしませんが、心身の健康を保つためにも、少しずつ運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ダイエットはただ体重を落とせばいいというものではなく、健康であることが大前提です。
そのためには一時的に運動をがんばったり、ムリに食事制限するのではなく、長く続けられる生活習慣を身につけることが大切。
とはいえ、これまで繰り返してきた生活習慣を、いきなり変えるのは難しいものです。
まずは一つでも、取り組みやすいことから始めてみてください。
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