「20分以上の有酸素運動しないと痩せない?」
「有酸素運動と無酸素運動はどちらが先?」
「結局どんな運動すれば痩せるの?」
ダイエットを始めると多くの人が抱く、ダイエットと運動の疑問。ジョギングや水泳といった有酸素運動と、筋トレや短距離走といった無酸素運動、どちらが良いというものではなく、何を目的とするかによって変わってきます。
また運動でダイエットするときには注意点を守らないと、逆に痩せにくくなることも。
本記事では
- 痩せたいなら無酸素運動と有酸素運動どっちが効果的?
- 運動でダイエットするときの注意点
について解説します。
痩せたいなら無酸素運動と有酸素運動どっちが効果的?
痩せるために効果的な運動は、無酸素運動・有酸素運動どちらと言い切ることはできません。
一般的には「無酸素運動は筋肉を増やして基礎代謝を増やす」「有酸素運動は脂肪を燃焼する」と言われますし、もちろんこれは間違っていません。ですが無酸素運動で筋肉を増やしたり、有酸素運動をしてもかならずしも誰でも痩せます、とは言えないのが正直なところです。
両者の特徴を理解したうえで、続けやすいほうを選ぶと良いでしょう。以下でそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
無酸素運動のメリット・デメリット
無酸素運動とは筋トレや短距離走といった、体内に酸素を取り入れずに行う運動のことで、糖質をエネルギー源として使います。
短時間で強い負荷をかけ、筋肉を鍛えることができます。

ダイエットに無酸素運動を取り入れると
- 筋肉を鍛えてボディラインを整える
- 成長ホルモンの分泌を促す
- 筋肉が増えて基礎代謝があがる
といったメリットが期待できます。一方で
- 糖質をエネルギー源とするため、直接的に脂肪燃焼は期待できない
- 誤ったフォームで行うとボディラインが崩れる
といったデメリットもあり、運動初心者が行うには注意が必要です。
有酸素運動のメリット・デメリット
有酸素運動とはジョギングや水泳など、体内に酸素を取り入れて行う運動のこと。糖質だけでなく脂質もエネルギーとして消費します。

有酸素運動のメリットは
- 脂肪を燃焼できる
- 体力がアップする
- 軽い負荷だと初心者でも続けやすい
- 便秘改善効果がある
という点です。ただ有酸素運動に関しては「20分以上運動しないと脂肪が燃えない」といった情報もあり、「毎日20分以上続けないと意味がないのでは?」と思って挫折した経験がある方もいるのではないでしょうか。
実は続けて20分ではなく、10分ずつに分けても効果があるという調査結果があります。とにかく少しずつでも継続することが大切ですね。
一方で有酸素運動のデメリットはというと
- 筋肉を減少させる
- 膝への負担が大きい
という点です。
過度な有酸素運動はストレスホルモンであるコルチゾールを分泌し、筋肉を分解してしまうのです。
また標準体重よりも大きくオーバーしている場合だと、ウォーキングやジョギングをすることで下半身、特に膝への負担が大きく関節を傷めやすくなります。
平地を歩くとき膝にかかる負担は、体重の2倍以上と言われています。体重70㎏の人であれば、膝には140㎏以上もの負担がかかっているということです。
体重が急激に増えたり、標準体重を大きく超えている方の場合、有酸素運動のメリットよりもデメリットのほうが上回る可能性があります。
運動でダイエットするときの注意点
ダイエットにおける無酸素運動、有酸素運動のメリット、デメリットをお伝えしましたが、運動で痩せたい人に気を付けてほしいことが3点あります。
- 運動だけで痩せようとしない
- 運動より休息を優先する
- 自分に合った運動をする
せっかく運動するなら、デメリットは最小限に、メリットは最大限にしたいところ。
注意点をしっかり理解してダイエットに取り組んでください。
①運動だけで痩せようとしない
運動でダイエットするときの1つ目の注意点は、運動だけで痩せようとしないことです。
ダイエットのために運動するのは良いことですが、「食事は好きなように食べて、運動でカロリーを消費するぞ!」というのは、実はかなり難しいんです。
痩せるためには、摂取カロリーよりも消費カロリーの方が多い、アンダーカロリーの状態を作ることが必須ですが、消費カロリーを増やしてアンダーカロリーを作るのは簡単ではありません。

脂肪を1㎏減らすためには7200kcalのアンダーカロリーが必要なので、1ヶ月で1㎏痩せたい場合は7200kcal÷30日=240kcal、つまり1日あたり240kcalのアンダーカロリーを作る必要があります。
運動で240kcal消費するためには、体重60㎏の人でこのぐらいの運動が必要です。
- ジョギング30分
- 自転車60分
- 山登り35分
- なわとび19分
一方、食べ物で240kcal減らすならこのぐらいを減らすだけで良いんです。
- ご飯1膳(150g)
- 食パン6枚切り1.5枚
- 肉まん1個
- どらやき1個
- クッキー3枚
痩せるためには240kcalのアンダーカロリーを毎日継続しなければなりませんから、運動で消費するよりも食事を減らすほうが、圧倒的に楽なのがわかりますよね。
ただ、運動がダイエットに不要というわけではなく、運動することで以下のような効果があり、これらが食欲を安定させることにつながります。
- メンタルを安定させる
- 自律神経バランスを整える
- ホルモンバランスを整える
- 睡眠の質を上げる
- ストレス耐性を上げる
- 体力の維持向上
運動はダイエットのために良いことですが、カロリー消費目的ではなく、あくまでも食欲を整えるための一つの方法として取り入れるようにしましょう。
②運動より休息を優先する
運動でダイエットするときの2つ目の注意点は、運動より休息を優先することです。

痩せたいあまりに睡眠時間を削って運動したり、疲れているのに毎日何時間も運動する、なんてことしていませんか?
運動はもちろん大切ですが、休息を優先したほうが実は痩せるんです。なぜなら睡眠不足のときは、以下のような理由から食欲が乱れやすくなり、食べ過ぎにつながるからなんです。
- 食欲抑制ホルモンのレプチンが減り、食欲増進ホルモンのグレリンが増える
- 脳内で理性を司る前頭葉の働きが鈍り、高カロリーなものを選びやすくなる
これはアメリカで行われた実験でも証明されています。
スタンフォード大学で行われた調査では、睡眠時間を5時間と8時間の2グループにわけたところ、5時間のグループは8時間のグループよりも食欲増進ホルモンのグレリンが14.9%増え、食欲抑制ホルモンのレプチンが15.5%減ったと報告されています。
その結果、睡眠不足のときは食欲が25%も増幅することがわかっています。
ペンシルベニア大学やコロンビア大学の実験では、徹夜したグループは8時間眠ったグループよりも高カロリー・高脂質の食べ物を選んだり、睡眠不足だとジャンクフードに対して脳が活発な反応を示すことが明らかになっています。
ホルモンや脳の働きを、意志の力で抑えることは難しいので、睡眠不足だといくら運動してカロリーを消費しても、それ以上に食べ過ぎてしまうということになります。
また疲れている状態で運動すると、運動自体がストレスとなり、自律神経バランスを崩します。
自律神経は交感神経が体を興奮させ、副交感神経はリラックスさせる神経で、この2つがバランスを取りながら、心と体の機能を保っています。
ですが交感神経が優位になると
- 血管が収縮する
- 唾液の分泌が減る
- 胃腸の働きが弱まる
- 睡眠の質が下がる
といったことが起こり、栄養を消化吸収できなかったり、むくみやすくなる、腸内環境が悪化するなど、痩せにくく太りやすい体になってしまいます。
ダイエットのために運動するなら、まずは休息を取り、運動できるだけの身体的・精神的・時間的余裕を作りましょう。
③自分に合った運動をする
運動でダイエットするときの3つ目の注意点は、自分に合った運動をすることです。

たとえば歩くのが好きな人が、「筋トレのほうがダイエットに良い」という情報を見て、イヤイヤながら筋トレをするのは逆効果。
前述したように、運動自体がストレスになると、自律神経バランスが崩れてダイエットに悪影響を及ぼしますし、継続するのが難しくなります。
また小さい子どもがいる専業主婦のママが、毎日1時間ウォーキングするというのは、天気や子どもの体調に左右されて、継続が難しいですよね。
ダイエットで何よりも大切なのは継続すること。どんなに完璧な食事を摂って、運動をしていても、三日坊主で終わってしまっては痩せることができません。
冒頭でもお伝えしたように、自分の生活に合ったもので、継続しやすい運動をすることが大切です。
痩せたいなら運動だけでなく生活全般を見直そう
ダイエットというと「運動してカロリーを消費してやせる!」「筋肉をつけて代謝をあげる!」というイメージがあるかもしれませんが、ダイエットの基本はアンダーカロリーの状態を作ること。
そのためには運動だけでなく、食事を整えて食べ過ぎない、しっかり睡眠をとる、ストレスを溜めないなど、生活全般を整えていくことが大切です。
運動することはダイエットだけでなく、心身の健康を維持するためにも良いことですが、運動だけに頼らず、生活習慣を見直すところから始めてみてください。
まとめ
痩せたいなら運動の種類よりも、継続できるかどうかが何よりも大切です。
自分の生活の中で、どこにどんな運動を取り入れられるか、考えてみましょう。
また運動だけで痩せるためにはかなりの運動量が必要になります。
食事や睡眠など生活全般を見直したうえで、運動を効率的に取り入れてダイエットを加速させましょう。
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